2017年8月24日木曜日

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 感想 考察


※ネタバレ注意です。

 先に言っておきますが、私は新房監督のファンでありシャフトのファンです。さらに原作は見ていません。それを分かったうえで感想を読んでください。


 さて、今作品の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は連続ドラマ「if もしも」(CX・1993年4~9月)の一編として、1993年8月26日にOAされた作品です。
 
 また原作の岩井俊二さんは「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」で日本映画監督協会新人賞を受賞。テレビドラマでの受賞者は異例のことだそうです。
 
 このような背景を持った作品が、最近でも珍しい実写からアニメ化という進展を起こしました。

 物語の本筋を話すと、(ネタバレ注意)中学一年生の主人公【島田典道】は同じクラスのヒロイン【及川なずな】に片思いしていました。
 夏休みの中、及川なずなは母の再婚で学校を転校することになりますが、彼女は家出しようと考え島田典道を駆け落ちに誘うのでした。
 しかし家出は失敗するのです。ですが、【及川なずな】が拾った不思議な模様のあるガラスの玉が光を放ち、時間が戻った、と言うより別の世界へいったのでした。それから・・・みたいな話です。







 さて、今作の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」ですが私のこの作品への感想はとても微妙です。

 この作品を見ることに対して悪い感情を持つことはありませんが、しかしわざわざもう一度見に行ったり、bluray-discなどを買う気にはなりません。

 良い点をあげますとまず、

・絵がとっても綺麗です。

 普通の日常背景も綺麗ですが今作品は不思議な世界を描く必要があります。それも見事にきれいでした。

 例えば別世界へいったという象徴として「花火」が使われます。その別世界の花火というのは私たちの世界ではありえないことになります。その花火というのがとっても幻想的で美しいのです。

・音楽がよかったです。

 主題歌「打ち上げ花火」をDAOKOと米津玄師 挿入歌「Forever Friends」をDAOKO 音楽を神前暁が担当しました。

・キャラクターデザインがよかったです。

 渡辺明夫による可愛いデザインになってます。

・中学生らしさが良くえがかれてます。

 自分の心に芽生えた感情が理解できていない感じなど青春時代を思い出させられるシーンが多く、子供を子供としてよくかかれていました。



 次に悪い点を話していきましょう。

・「見ていてハラハラやドキドキ感が足りない。つまり盛り上がりにかける」です。

 主人公 島田典道の目的はヒロイン 及川なずなとの家出を成功させることです。それを邪魔する及川なずなの両親や島田典道の友達であり及川なずなのことが好きな【安曇祐介】がいます。

 これらの障害を回避する方法として使われるのは、及川なずなが海で拾ったガラス玉(パンフレットよりこれからこの玉を【もしも玉】と呼びます。)の不思議な力で回避していくにですがこのもしも玉、はっきり言ってチートです。

 このもしも玉、一見使用者のみに記憶を持たせ時間を元に戻しているかに思えますが、なんと自分が願ったことが叶う世界になるという代物のようなのです。

 ですので、私は主人公に襲い掛かるピンチを不安がらずむしろ茶番の様に感じました。

 当たり前ですよね。だってこのもしも玉さえあれば時間を戻すどころか現実ではありえないこともできるのですから。

 一応このもしも玉にもリスクがあるようで、その象徴として花火が現実離れした開き方をするのです。つまり自分が元いた世界とは違う世界にきてしまうということのようです。

 けれど特に恐ろしいことが起きるわけではないので緊張はしなかったです。

 最後の方は美しい背景をバックに感動的な感じになっていました。もしも玉によってつくられていた世界が崩壊し、その世界をつくっていたもしも玉の破片がありえたかもしれない都会での生活などを映しだしてそれらを見た二人が歓喜回りキスをするのです。

(うまく言葉で書くことができませんがここは良いシーンなのです。このシーンは是非自分の目で見てください)

 しかしこれらの見た景色はもしも玉によるものですか現実ではないのです。言ってしまえば「マッチ売りの少女」がマッチの火で見た幻想でしかないのです。ですから素直に共感して喜ぶことが出来ませんでした。



・主演の声優の演技が棒で聞き苦しかったです。

 実力派俳優として名高い「広瀬すず」「菅田将暉」ですがどういうわけか発音が悪いのです。

 例えるなら声優は「こ・ん・に・ち・は・!」といった具合にはっきりと言葉が聞き取れますが、この二人は「こんにちは!」と言葉が繋がった感じになり聞き取りづらく画面に演技が負けているように感じました。

そのため感情の声もはっきりとせずふにゃっとした感じになっていました。

本来のカメラ前での演技ではとても良いのですがどうしてあんなに違和感が生まれるのでしょうか、不思議です。

 声に特化した声優と比べるのは場違いと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、同じ俳優である「松たか子」は全く違和感なく聞けました。ですので俳優だからは言い訳にならないと思います。


 
・及川なずながなぜ駆け落ち相手を探していたのか、またどうして最後にキスしたのか、及川なずなの心がわかりずらかったです。

 元々は水泳の競争で勝った方の安曇祐介を誘いましたが、失敗し島田典道がもしも玉を偶然にも使ったため水泳の競争で勝ったのが島田典道となり駆け落ちをするのですが、どうして駆け落ちではいけなかったのでしょう。

 及川なずなは母親のビッチの血が入っているせいかもと言ってましたが普通に考えて違うでしょう。

 それとも元々好きだったのでしょうか。これなら一応つじつまが合いますね。好きな人を駆け落ち(家出)に誘うこれなら分かりますし、最後のキスシーンもうなずけます。

 しかしそれならなぜ最初に安曇祐介を誘ったのでしょうか。及川なずなは競争で勝った人を誘うつもりでいたといってました。そしてうろ覚えですが及川なずなは島田典道が勝つと思っていたそうです。

 だったら無理して安曇祐介を誘う必要はなかったと思います。いったいなぜ誘ったの…

 パンフレットを見たら及川なずなの島田典道に対する気持ちが書いてました。つまりこれって…


・いったいどのキャラクターに感情をおけばいいのかどこが視聴者のポジションなのかわからなかったです。

 島田典道と及川なずなの仲を応援するきにはなれませんし、(そもそも及川なずなの気持ちがわからないし)島田典道を見守る気も起きずらかったです。(なぜだかはわからないけど)

 かといってアクションを楽しむ作風でもないです。さらに感情移入しずらかったので心が乗りずらかったです。



最後に考察を書こうと思います。

・最後のシーン 主人公が学校に来ていないところです。

 友達によると、どうやらこのシーンについてネット上で多くの仮説があるようなので私なりの解釈を書こうとおもいます。

 結論からいって元の世界で駆け落ちしたです。

 理由としてまず「もしも玉」は酔っぱらったおっさんのせいで壊れたので他の世界はつくることが出来なくなったと考えます。

 さらに島田典道は状況を把握していると考えれば、安曇祐介と水泳競争するのを回避するために学校に来なかったのではないでしょうか。

 もしも玉が壊れたあと一体どこまで時間が戻ったのかは知りませんが、おそらく駆け落ちの準備をしてあのもしも玉の破片で見た景色を現実にすることを考えたのではないのでしょうか。

 聞いた話によるとネット上では及川なずなが先にループしてた説があるそうですが私は否定します。

 及川なずなは菅田将暉が勝つことを確信していたり、電車が海の上を走るとかありえないことが起きているのにループのことは認めていない。みたいなことが書いてあるらしいのですが、水泳の勝敗が分かったのは同じ水泳部だからどっちが速いかわかるだろうし、海の上の電車は実際みたから納得するのであって、ループは確認できないからです。そもそもループを否定している素振りはなかったと思います。
 



 さて、一応私が言いたかったことは言いました。雰囲気はとても良いのですが、物語に不満があるといった評価になります。

 けれど、もしかしたら私が話の内容を理解していないだけかもしれません。もしまだ見ていない方がいらっしゃったら是非見てください。このブログでは紹介できなかったところは多くありますし、最後のシーンやもしも玉への解釈がなかなか考えさせらえるものになっております。

ではみなさん、ぜひ劇場へ!!!

公式サイト:http://www.uchiagehanabi.jp/index.html
 
 

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